バイクを所有している方なら一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
そう!外装のオールペイント。
オールペイントまではいかなくても、タンクだけとかサイドカウルだけとか、自分で塗装できたらなーって私は思ってました。そういう好奇心で始めた、DIYの塗装。
今回は私が塗装をしてきた、手順や注意点を紹介致します!
プロの目線ではなく素人の目線ですので、共感することも多いのではないでしょうか。
塗装の手順の紹介
塗装といっても、手順がたくさんあります。短期間で仕上げるのは難しいので、塗装期間は十分に時間をとってきましょう!私も最初の時は、時間が無くて後半焦ってやって失敗して、、っていう悪循環に陥りました。
良い仕事は、余裕を持った時間が大切ですよ♪後は、一人ではなく友人とやった方が、和気あいあいとできますし、塗り忘れとか失敗が減ると思います!
下地処理
まずは下地処理から。下地処理の工程もいくつかあります。
バイクの塗装ではこの下地処理が最も大切な工程です。
正直、「下地処理:塗装:磨き」の比率でいうと、「7:1:2」くらいです。そのくらい下地の処理は大切で、ここを怠るともろに仕上がりに影響します。これでもか!というほど丁寧にやりましょう!
エンブレムや部品の取り外し
まずは、タンクやカウルに付いている部品を取り外します。エンブレムの下は意外と砂やほこりが溜まっていますので、折角塗装するなら取った方が良いです。
タンクのエンブレムなんかは、表面をヒートガン(無ければドライヤー)で温めながら、細いワイヤーを使えば簡単に取り外せます。今回は、塗装をするために取り外すので、塗装表面は少々傷ついてもOKです!勢いよく外しましょう!
塗装の剥離
塗装を剥離するときは、サンドペーパーを使いましょう!既存の塗膜が2液ウレタンで塗装してある場合は、かなり根気よく研磨しないといけません。タンクとカウルでそれぞれのオススメ研磨方法を紹介します!
■タンクの塗装剥離
タンクは鉄やアルミで出来ているので、剥離剤を使いましょう!ホームセンターで売っているものよりも、ネットで販売している「スケルトン」が断然おすすめです。めちゃくちゃ一瞬で塗装剥離が出来ます。
劇薬なので、手袋は2重くらいにして肌にはかからないように注意しましょう。肌にかかった場合は、すぐに水で洗い流してくださいね。私も、肌にかかったときは熱くなって溶けるかと思いました。
ある程度剥離剤での剥離が終わると、残りはペーパーを当てて、表面をザラザラにしていきます。
ペーパーは80番~120番くらいで磨けばOKです!
■カウルの下地処理
ABSやFRP製で出来ているカウルの下地処理です。カウルの下地処理は、一般的なパターンと私が普段やっているやり方を紹介します。
共通してやること
ステッカーを剥がします。バイクは、文字やエンブレムが大体ステッカーになっており、その上からクリア塗装で保護してあることがほとんどです。
そんな場合は、ペーパー240番くらいで表面のクリア層を削り落とし、スクレーパーを使って落としていきます。その後は、、
一般的なやり方
ペーパー240番~320番くらいを使い、表面の塗装を削り落とします。ABS樹脂であれば素材は黒いので塗装が落ちてくるとわかりやすいかと思います。2液ウレタン塗料を剥がすのは容易ではないので、かなり根気のいる作業になります。
バイクのカウルは、ABS樹脂やFRPで出来ています。
その素材に剥離剤は、強すぎるため下の樹脂までも溶かしてしまいます!
剥離剤をカウルパーツに使うのは絶対にやめましょう。(私はやらかしたことがあります)
私なりのやり方
カウルの塗装剥離は想像以上に時間がかかるので、私はいつも、耐水ペーパー600番くらいで表面を丁寧に荒らして、プラサフの工程に移っています。今までこの方法で塗装が剥がれたことはありませんので、問題ないとは思っていますが自己責任でお願いしますね♪
特にフルカウルの下地処理は面積が広いのでかなり大変ですよね。
そんな時は電動サンダーを使っても良いと思います!ペーパー400番くらいから表面を荒らしていきましょう!
ただし、電動工具はパワーがありますので、カウル本体の形まで削り込まないように注意してください。
凹み、割れの補修
次は、凹みや割れの補修です。
タンクが凹んでいた場合、リペアとパテをやって補修していきます。
凹みが大きい場合、リペアをしてからパテを使っていきましょう!凹みが大きい場合にパテだけ使うと、パテを多く購入しないといけないし、タンクがめちゃくちゃ重くなります。
タンクのリペアの記事については別途UPしようと思っておりますので、少々お待ちください。
カウルの割れも同様にパテを使って補修していきます。
カウルの割れは、パテだけで補修してはいけません。強度が足りないので塗装した後に、振動ですぐに割れてきます。おすすめは、TRPとFRPパテを使った補修方法。強度も出ますし、プラリペアは意外と難しいので、FRPのほうが簡単です。
FRPは、こちらのセットと、100均の刷毛と紙コップがあると便利ですよ♪
FRPで強度を持たせた後に、通常のパテを使って補修していきましょう。パテにコツとかはないので、完成の形をイメージしながら、後は根気あるのみです!
プラサフ塗装
下地処理の最終工程のプラサフです。プラサフは塗装の練習も兼ねて、意識して塗装してみましょう!ここで本塗装のイメージをつけておくと、本番の塗装も緊張しなくなりますよ♪
塗装には2種類存在し、ラッカー系の1液塗料と、硬化剤が入った2液ウレタン塗装があります。
簡単に言うと
「お手軽なのが1液ラッカー系塗装」、「本格派の2液塗装」くらいで覚えておいてください。
本記事では2液を前提として、紹介しています!
塗装の前に
プラサフの塗装が完了したら、いよいよ下地処理の最終工程です。
プラサフの研磨に入るのですが、その前に、大きなゴミが入っていないか確認しましょう。頑張った下地処理ですので、ここで気を抜かずに、最後まで丁寧にやりましょうね。
プラサフの研磨
プラサフの塗装が完了したら、塗装前の研磨を行います。
研磨作業は塗装後の表面にもろに影響します。細心の注意を払って、丁寧に行いましょう!!
研磨は、耐水ペーパーを使います。番手は800番~1000番。
個人的には1000番くらいまで磨いた方が、塗装表面の仕上がりが格段に良くなりますので、1000番くらいまで磨きましょう。
サフェーサーは、削り落とすことが目的ではなく、あくまで塗装前の表面を綺麗にすることが目的です。削り過ぎてサフェーサーを剥がさないように注意してくださいね。
マスキング
サフェーサーの研磨が終わったら、マスキングです。塗装したくない所や、塗料がかかったらよくない所をマスキングしていきます。
マスキングは、100均に売っている物ではなく、塗装用の物を購入しましょう。100均の物を使ったことがありますが、塗装時のエアー圧で剥がれてしまう場合があります。
塗装用の物はホームセンターで、様々なサイズが販売していますので、必要に応じて準備してください。
脱脂
研磨とマスキングが終わったらいよいよ塗装に入れます。
ここまでかなりの時間がかかりましたね。ここで失敗しないためにも、脱脂作業は入念に行いましょう。
脱脂はシンナーを薄めたシリコンオフで行います。何かと使うので私はいつも2L単位で購入しています。
脱脂が完了した後は、手の脂でも塗料を弾いてしまう場合があるので、素手では触らないように注意しましょう。
本塗装開始!
下地の調整、お疲れさまでした。ここまで長かったですが、いよいよ本塗装に入ります!
本塗装に入る前には、どういったデザインにするかイメージして塗装の工程を決めましょう。
ソリッド単色でも良いですが、2、3色使ってラインを入れたり、ラップ塗装なんかにも挑戦しても面白いですよね。
ここからは自分の想像次第で、世界に1つだけのデザイン塗装が完成します。
私はいきなりキャンディ塗装に挑戦しました。最初は失敗してしまいましたが、根気よく最初から塗装しなおし、大満足の仕上がりになりました。プロフィール画像にも設定している、ハヤブサは自作塗装になります。

手間をかければかけるほど、自分の納得いく塗装が出来てしまいます。
ハヤブサは、ホイールやアンダーカウル、「GSX1300R」の文字もすべて塗装で仕上げました。
頑張って手間をかければ、素人でもここまでの完成度で仕上げることが出来ますよ(私はこのオールペンが初めてでした!)
カラー塗装~文字入れまで解説!
前置きはさておき、本塗りのカラー塗装。ここからは自分の想像次第で、どんな塗装もできてしまいます。
例を1つ挙げて、先ほどのこのハヤブサの塗装で手順をご紹介いたします!

一番目立つ、タンクとカウルのキャンディレッドと「GSX1300R」の文字について説明します。

結構色々な手順があるので、真似するときはよく手順を確認しながらやってね♪
まずはRのゴールドから塗装します。
キャンディをした後にRを塗装しない理由は、ゴールド系のカラーは色がかなりとまりにくく、下地がレッドだとかなり厚めに塗装しないといけません。そうなると、仕上げの時に、段差をなくそうと思ったら、大量のクリアが必要になります。
これくらい大きな文字の塗装且つ、とまりにくい色の場合は最初に塗装するのがベスト。失敗談からの知恵ですので、間違いないです。
ゴールドはRのみですので全体に塗る必要はありませんよ。
STEP 2は、「R」の文字をマスキングします。
そのために、折角塗ったゴールドが剥がれないように、クリアをして保護します。
クリアが完全硬化したら、耐水ペーパー1000番で表面を荒らすのを忘れずに。
その後、Rの文字をマスキングします。マスキングが完了したら次の工程です。
キャンディもいくつか工程がありますので、細かく解説します。
- ソリッドブラック
- シルバーメタリック
- クリア
- キャンディレッド
満足いくまでキャンディを塗り終わったら、クリアで保護します。この時点でクリアは3~5回は吹いておきましょう!厚めに塗装することで、この後の研磨で、下地まで削るリスクが少なくなります。
STEP3からSTEP4のクリアまでは、連続して行いましょう!硬化した後に再塗装すると、ノリが悪いです。
クリアは72時間で完全硬化しますので、そのあとに耐水ペーパー1000番で研磨します。

そんなこと言ってもネットで調べると、キャンディ塗装はゴミが入ったら、一からやり直し!って言う記事ばかりだけど本当に修正できるの?

出来るわよ。ネットの記事なんて信用してビビッてたらダメ。私は実際、タンクの塗装が完成した後に、表面にポンチ傷をつけてしまって、その時は肩を落としたものよ。

そんな傷レベルの修正って塗装だけじゃ済まないのでは、、

そうよ。その時はやけくそで、そのポンチ傷の部分だけパテをして、マスキングで囲って、シルバーからキャンディまでやり直したわ。
それでも全く目立たないくらいの仕上がりで修正できたよ!

おお。。諦めない心が大切なのですな。
エンブレムと呼ぶにはあまりにも大きい文字ですが、マスキングを行います。その後、余計なところに黒がかからないようしっかりとマスキングして、ソリッドブラックです。これで文字入れも完成!
その後、マスキングを剥がす前に、クリアを1~2回でも吹いておくと次の工程が楽になります。
トップクリア塗装、研磨、ゴミ取り、エンブレムの段差無くし
無事に文字入れが完成したら、仕上げのクリアです!
ここまでの工程で、GSX1300の文字はクリアのまま、他はクリアして研磨してある状態だと思います。
この状態で、エンブレムを中心に一度、耐水ぺーパー1000番で研磨します。この時点では段差が残りますので、エンブレムの黒まで磨かないように注意してください。キャンディの部分に、まだゴミがあるようでしたらこの時点で完全に除去します。
ある程度磨けたら、3回ほど仕上げのウレタンクリアを行います。
完全硬化すれば、ウレタンクリアは完成です!
磨き
ウレタンクリアが72時間以上硬化したら、仕上げの磨きに入ります!
ここまで長かったですが、あと少しです!鏡面にするにはかなり気合を入れて磨く必要があります。
耐水ペーパー1000番→1200番→1500番→2000番→コンパウンド粗目(3000番)→コンパウンド中目→コンパウンド細目 の順番で磨きまくります。
仕上げのクリアが薄いと、ここで失敗しますので注意です。研磨中に色が出てきたら、クリアからやり直しです。。
磨きはとにかく根性なので、気合入れて磨きましょう!!
自分が納得いくまで磨きが完了したら、やっと完成になります!!
DIY塗装で準備するもの
以上が、私がDIY塗装したときの手順となります。プロがやるともっと工程も少なくて済むのかもしれませんが、素人でもここまでの手順を踏めば、こんなにも良い仕上がりの塗装が完成します!
塗装後、もう4年くらいは立っておりますが、今のところ塗装剥がれもないですし、色あせもないです。やってよかったと思います。
いざ自分もやってみようとすると、無限にある道具の種類。私も最初は手探りで買ってみて失敗も色々しました。
そんな中で、コスパを重視した超おすすめの道具をご紹介します。
- オイルレスコンプレッサー
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2液ウレタンを使用するのであれば、必須。他にも重宝するので、ガレージに1台あったら絶対困りません。おすすめはこちら。
オイルレスでこの価格。音もかなり静音でした!使い勝手抜群なので、初めてのコンプレッサーにはもってこいです。
容量は塗装するのであれば、断然30Lをお勧めします。
リンク - スプレーガン
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スプレーガンも必須アイテム。ただ、これもピンキリで2,000円くらいの物もあれば、プロ用の数万円するものもあります。私も、アストロのガンを使ったりしましたが、行き着いたガンはこちら。コスパがかなり良いですが、大手メーカーの製品なので安心です。
リンクただ、ガンはソリッド用途シルバー用の2丁持っておいた方が良いです!
シルバーを吹くとラメが残ってしまい、ソリッドにも影響します。ラメを完全に洗浄するのって結構大変なんですよね。私は、アストロのガン→シルバー専用にしてます!因みに安いガンはすぐに、塗りムラが出来てしまいますので消耗品と思っておきましょう。。
- 塗装スタンド
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いらないと思っているあなた。意外とあった方が便利な塗装スタンド。私は、塗装や研磨用に、塗装スタンドを購入しましたがかなり使い勝手が良いです。1台持っていても損はないと思います!
リンク - ろ紙
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ろ紙は必須です。カップは100均の紙コップでOK、混ぜる棒も割りばしで十分ですよ。
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そのほかの塗料とかは、専用の塗料を買う時もありますし、関西ペイントで購入します。
- レギュレーター
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塗装時には、空気中の水分がコンプレッサーの中で圧縮され、結露したものがエアガンから噴射されます。エアフィルターとレギュレーターをつけることで、この悩みを解決。これも塗装時には必須アイテムです。
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DIYで塗装するメリット・デメリット
実際にやってみての感想ですが、とにかく楽しかったです。工程が多くて面倒なのですが、私は初めてやることに、次はどうしようかと考えるのが楽しくて仕方ありませんでした。
なので出来上がったときの達成感が溜まりません。
そんな今ですが、私も塗装を始めようと思ったのは、「外装が立ちごけで汚くなりすぎだけど、業者に出すお金もない。そうだ!自分でやってみよう!」というところからスタートしました。
今思えば、これがDIY欲を掻き立てる最初のチャレンジだったかもしれません。
長くなりましたが、DIYで塗装するメリットとデメリット。
初期投資こそかかるものの、道具さえそろえてしまえば、その後は業者に出すよりも圧倒的に安価に、気軽にオールペンが出来ます。オフシーズンごとに、塗装すれば気分も変わりますよね♪
業者に頼むと、自分の意向に沿わない出来になってしまうかもしれません。また、信頼する業者じゃないと安心して作業も任せれませんよね。DIYであれば良くも悪くも自分次第。完成したときの達成感も最高です。
その完成度が高ければ高いほど、「自分で塗ったの?!」とびっくりされます。これが意外と気持ち良い。ミーティングに参加すれば、自分のカスタムを自慢することも増えるでしょう。
他にも上げればたくさんあるメリットですが、一方でデメリットももちろん存在します。
塗装時にはシンナーを使いますので、住宅街でコンプレッサーとスプレーガンを使えばたちまち大クレームに繋がるでしょう。場所が限られてしまうのが一番のデメリットかもしれません。
ただし、ガレージがあれば、簡易塗装ブースを作ることも可能ですので、私はガレージに工夫して塗装できるように空間を作っています。
コンプレッサーやスプレーガン等々をそろえると、なんやかんや10万円位の初期投資がかかってしまう場合もあります。継続して、趣味として塗装を始めるのであれば、初期投資の部類では安いほうかと思いますが、1回のみのオールペンのために出す金額ではありません。
ここは、個人の普段の生活にもよりますので、需要とお財布とよく相談してみてください。
これだけ手間のかかることなので、ものすごく時間がかかります。友人や仲間とやるならまだしも、一人ですべての工程を実施するとなると、かなり大変です。磨きの作業とかメンタル結構つらいときも、、、
会社があってプライベートの時間が取れないと、中々進行も遅くなってしまい、気づけば半年たってた!みたいなことになり兼ねません。
まとめ
いかがだったでしょうか。
長い記事となってしまいましたが、私の経験を踏まえて、素人目線で塗装の記事を書いてみました。
今から塗装を始めようとしている方、今初めて手順で行き詰っているかた。そんな方の役に立てばうれしいです。
それではあなたのガレージライフが良いものとなりますように。
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